こんにちは。
ちゅんちゅんです 🐣

群論の重要な定理で、「指標の直交性」と呼ばれるものがあります。

その定理自体は僕は昔から知っていてよくお世話になっていました。
でも、「直交性」の意味はあんまり深く考えてませんでした。
最近、どうして指標の直交性は「直交性」なのかを知りました。

そこで、今日は、指標の直交性の直交感を書きます。


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以下、まず群の指標の直交性の主張とその証明を書きます。
その後、なぜ群の指標の直交性を「直交性」というのかを説明します。


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群の指標の直交性とは

群の指標の直交性とは、次の定理のことです。


定理 (指標の直交性)
$G$ を群とし、$\chi_{1},\chi_{2}:G\to\mathbb{C}^{\times}$ を群 $G$ の指標とする。
つまり、群準同型とする。
このとき、次の等式
$\displaystyle\sum_{g\in G}\chi_{1}(g)\overline{\chi_{2}(g)}=\left\{\begin{array}{cl}\# G&(\chi_{1}=\chi_{2}\ のとき)\\ 0&(\chi_{1}\neq\chi_{2}\ のとき)\end{array}\right.$
が成り立つ。

(証明の概略)
$\alpha=\sum_{g\in G}\chi_{1}(g)\overline{\chi_{2}(g)}$ とおく。
$\chi_{1}=\chi{2}$ のときと $\chi_{1}\neq\chi_{2}$ のときで場合分けして考える。

◎ $\chi_{1}=\chi_{2}$ のとき
任意の $g\in G$ に対して
$\chi_{1}(g)\overline{\chi_{2}(g)}=\chi_{1}(g)\chi_{1}(g)^{-1}=1$
である。よって、
$\displaystyle\alpha=\sum_{g\in G}1=\# G$
となる。


◎ $\chi_{1}\neq\chi_{2}$ のとき
ある $h\in G$ で $\chi_{1}(h)\neq\chi_{2}(h)$、つまり $\chi_{1}(h)\overline{\chi_{2}(h)}\neq 1$ となる。
この $h$ に対して、
$\displaystyle\chi_{1}(h)\overline{\chi_{2}(h)}\alpha=\sum_{g\in G}\chi_{1}(gh)\overline{\chi_{2}(gh)}=\alpha$
となる。
今、$\chi_{1}(h)\overline{\chi_{2}(h)}\neq 1$ なので、$\alpha=0$ となる。
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なぜ「直交性」というのか

以下、$G$ をアーベル群とし、
$\mathbb{C}$ 上のベクトル空間 $V$ を $V=\mathrm{Map}(G,\mathbb{C})$ とします。

このとき、$V$ には次のような内積 $(\cdot,\cdot)$ が入ります:
$\displaystyle(\varphi,\psi):=\frac{1}{\# G}\sum_{g\in G}\varphi(g)\overline{\psi(g)}\quad(\forall\varphi,\psi\in V).$

この内積、見覚えのある形をしていますね。
内積 $(\cdot,\cdot)$ を使うと、指標の直交性は次のように書き換えられます。

定理 (指標の直交性)
$\chi_{1},\chi_{2}:G\to\mathbb{C}^{\times}$ が群の指標とする。
このとき、
$(\chi_{1},\chi_{2})=\left\{\begin{array}{cl}1&(\chi_{1}=\chi_{2}\ のとき)\\ 0&(\chi_{1}\neq\chi_{2}\ のとき)\end{array}\right.$
が成り立つ。
つまり、内積 $(\cdot,\cdot)$ に関して指標は直交する。


これで、指標の直交性の直交感がわかりましたね!
すっきり!