こんにちは

前回の記事に引き続き、ピタゴラス数について書きます。

今日は、「既約ピタゴラス数」という概念を定義し、
その性質について説明します。

ピタゴラス数のおさらい


整数 $a,\ b,\ c$ が $a^{2}+b^{2}=c^{2}$ をみたすとき、
$(a,\ b,\ c)$ は「ピタゴラス数」であるといいます。

ピタゴラス数 $(a,\ b,\ c)$ は直角三角形の辺をなします。


既約ピタゴラス数


$(a,\ b,\ c)$ がピタゴラス数で、最大公約数が $1$ のとき、
$(a,\ b,\ c)$ は「既約ピタゴラス数」であるといいます。

図形の言葉で言い換えると、
「それ以上縮小すると整直角三角形でなくなってしまう」ような整直角三角形の辺を
既約ピタゴラス数といいます。

例えば、$(3,\ 4,\ 5)$ や $(5,\ 12,\ 13)$、$(7,\ 24,\ 25)$ などは既約ピタゴラス数です。
一方、$(6,\ 8,\ 10)$ や $(15,\ 36,\ 39)$、$(28,\ 96,\ 100)$ などは既約でありません。
(参照:下の図1)
既約整直角三角形
(図1. 既約ピタゴラス数)


既約ピタゴラス数の性質


$(a,\ b,\ c)$ を既約ピタゴラス数とします。
つまり、$a^{2}+b^{2}=c^{2}$ が成り立ち、$a,\ b,\ c$ の最大公約数は $1$ とします。

既約ピタゴラス数は次のような性質を持ちます;
$a,\ b$ のうち一方は偶数であり、もう一方は奇数である。

この性質を、背理法を用いて証明します。


$a,\ b$ の偶奇について、考え得るパターンは次の $3$ 種類があります;
(1) $a$ も $b$ も両方偶数である。
(2) $a$ も $b$ も両方奇数である。
(3) $a,\ b$ のうち片方は偶数で、もう片方は奇数である。

ひとつずつ検証してみましょう。


【まず、(1) のパターンについて】

$a$ も $b$ も偶数なので、ある整数  $A,\ B$ を用いて次のように表せます;
\begin{eqnarray}a=2A,\ b=2B\end{eqnarray}
このとき、
\begin{eqnarray}c^{2}&=&a^{2}+b^{2}\\&=&(2A)^{2}+(2B)^{2}\\&=&4(A^{2}+B^{2})\end{eqnarray}
より $c$ も偶数となります。

つまり、$a$ も $b$ も $c$ も偶数となります。
ところが、これは $(a,\ b,\ c)$ の既約性に矛盾します。

したがって、(1) のパターンは起こり得ません!


【次に、(2) のパターンについて】

$a$ も $b$ も奇数なので、ある整数 $A,\ B$ を用いて次のように表せます;
\begin{eqnarray}a=2A+1,\ b=2B+1\end{eqnarray}
このとき、
\begin{eqnarray}c^{2}&=&a^{2}+b^{2}\\&=&(2A+1)^{2}+(2B+1)^{2}\\&=&(4A^{2}+4A+1)+(4B^{2}+4B+1)\\&=&4(A^{2}+A+B^{2}+B)+2\end{eqnarray}
となります。
よって、$c$ を $4$ で割った余りは $2$ となります。

ところが、$2$ 乗して $4$ で割った余りが $2$ となるような数は存在しません。

実際、偶数を $2$ 乗して $4$ で割ると余りは必ず $0$ になるし、
奇数を $2$ 乗して $4$ で割ると余りは必ず $1$ となります。

したがって、(2) のパターンも起こり得ません!


以上の考察から、既約ピタゴラス数の偶奇の組み合わせについて
(3) のパターンしか起こり得ないことが分かりました


実際に既約ピタゴラス数の例をいくつか眺めてみましょう

$(3,\ 4,\ 5),\ (5,\ 12,\ 13),\ (7,\ 24,\ 25)$ などなど。

どの例もちゃんと、必ず偶数が含まれていますね


おまけ


(2) のパターンを考察するとき、
なにかで割った余りに注目する
という考え方をしました。

この考え方は、整数に関するいろいろな場面で役に立ちます。


既約ピタゴラス数の例を、もう一度眺めてみましょう;
$(3,\ 4,\ 5),\ (5,\ 12,\ 13),\ (7,\ 24,\ 25),\ \cdots$

これらの例には、さっきも調べたように必ず偶数が含まれていますが、
注意深く眺めてみると、他の性質についても予想が立てられそうです。

つまり、
既約ピタゴラス数の組には必ず $3$ の倍数と $5$ の倍数も含まれてるのではないか
という予想が立てられます。


この予想が正しいかどうか、
「余りに注目する」という考え方を使ってぜひ検証してみてください


ではでは。


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